教えて茶道(バックナンバー Vol.60~74)
初夏の風炉の季節から秋へ。
検索されることの多い「貴人点」「貴人清次」の詳しい手順や、利休百首に通じる茶道の精神、そしてアヤメの見分け方などを網羅したアーカイブです。
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Vol.60:風炉(ふろ)の種類と灰形
先日、家の近くの菖蒲園へ行きました。
花しょうぶは、アヤメ科で、ノハナショウブから改良された花で、花を鑑賞する種類です。
端午の節句や、ショウブ湯に使うショウブとは別物で、こちらはサトイモ科で、香がいいのもです。

風炉(ふろ)について
風炉点前とは、風炉を用いて茶を点てることを言います。
この点前は五月から十月の名残りまで行います。
風炉にも真(しん)、行(ぎょう)、草(そう)があります。
- 真:眉のある土風炉(眉風炉)。
- 行:他の土風炉、唐銅風炉、透木風炉、鳳凰風炉。
- 草:鉄風炉、板風炉、陶磁器製。
風炉の中に灰を盛ることを「灰型を作る」といいます。
ニ文字押切り、ニ文字掻上げ、丸灰押切り、遠山(とうやま)などがあり、風炉の種類によって使い分けます。
灰型のできた風炉に、蒔灰(まきばい)をします。蒔灰を雪に見立てて蒔くもので、酷暑には涼しさを感じていただく為に多く蒔きます。
Vol.61:炭点前(すみてまえ)とアヤメの見分け方
ここ、2日ほど暑い日が続いています。
心の修行は怠らず。「平常心是道」
炭点前(すみてまえ)
炭点前は湯をわかす手順を、秩序ある一つの形式にしたもので、初炭(しょずみ)後炭(ごずみ)に分かれます。
炭に使われるのは、クヌギの切り炭で、池田炭をもって最良とされています。
炭道具(すみどうぐ)
炭斗(すみとり)は炉は大きめ、風炉は小さいものを使用します。
香合(こうごう)は塗り物は風炉用、焼き物は炉用。
羽箒(はぼうき)は風炉には右羽を主に使います。

花菖蒲、あやめ、かきつばたの見分け方
- 花菖蒲:花びらの基に黄色の模様あり。葉が剣状で葉脈が突起している。
- あやめ:花びらの基に網目の模様あり。野山の湿地に群生する。
- かきつばた:花びらの基に白の模様あり。「書きつけ花」と呼ばれた。水辺に自生する。
Vol.62:夏越の祓(なごしのはらえ)と炭点前の手順
六月三十日は、前半の節目の時で、「夏越の祓(なごしのはらえ)」という。
半年無事に過ごせた感謝と、盛夏を迎えて疫病災難から逃れたいと言う願いをこめた行事です。
昔はこの日に氷室から宮中に氷が献上されました。その氷を食べると夏痩せしないと言われ、庶民はそれに習い、氷片を表した「水無月(みなづき)」と言うお菓子を食べるようになりました。
炭点前(初炭の流れ)
炭斗(すみとり)を運び出し、紙釜敷を懐中し、灰器を持って入ります。
釜を上げて紙釜敷にのせ、釜を移動させます。
羽箒で初掃きをし、下火を直します。
炉の中に灰をまき入れ(月型を切る)、中掃きをします。
炭をつぎ(胴炭、丸ぎっちょ、割ぎっちょ…)、後掃きをして、香をたきます。
釜を戻し、釜の蓋を清め、香合を拝見に出します。
Vol.63:ごま豆腐と雪餅(ゆきもち)のレシピ
暑い日が続く時、お茶は一休みして、涼しいお菓子はいかがですか。
読者の方からレシピをいただきました。
さくらもち or 雪餅(ゆきもち)
材料:道明寺粉200g、水300cc、砂糖30g、餡500g
(※雪餅にする場合は食紅を使わず白のままで、葉は笹や椿を使います)
- 水と砂糖を沸騰させ、道明寺粉を洗い混ぜてラップをして15分おく。
- 電子レンジに6~7分かける。
- あら熱をとり、餡を包む。
冷凍保存も可能です。
ごま豆腐
材料:ごまペースト60g、牛乳400cc、水100cc、くず粉50g
鍋に入れて火にかけ、焦げないように絶えずかき混ぜ、透明になって粘りが出たら型に流し込みます。
冷やしてわさび醤油でどうぞ。
Vol.64:【重要】茶の湯とは(利休の心)
「茶の湯とは ただ湯をわかし茶をたてて
飲むばかりなる事と知るべし」
茶の湯とは、決して億劫なことでも、窮屈なことでも、またむずかしことでもない。ただ湯を沸かして茶を点て、飲むだけのことである。
しかし、口ではそう一言で言うことができても、さて実際行ってみると、なかなか行い難いものである。
柳は緑、花は紅(くれない)と言うことは、誰でもわかっていることである。しかし、何故柳は緑で花は紅であるかと人に問われて、すぐに答えることができるだろうか。
「そのくらいなら、修行も勉強も不必要だ」と思ってしまえばそれまでだが、無我無心に茶を点てることのできる人が、はたして何人あるだろうか。
禅に影響を多く受けている茶の精神の一番の基本です。
この言葉が理解できれば、あなたは立派なお茶人さんです。
Vol.65 & 66:【重要・検索多】貴人点(きにんだて)薄茶
厳しい暑さが続いていますが、皆様お変わりございませんか?
貴人点(きにんだて)
高貴な方(貴人)にお茶を差し上げる場合の点前作法です。
道具も新しい物を用いるのがよろしく、茶碗は貴人台(白木の台)にのせます。
菓子器には、高杯(たかつき)を用い、一人一つずつとします。
この点前では、半東(給仕役)が茶碗や拝見の道具の取次ぎをします。
点前のポイント
- 準備:棚を据え、水指を莊り、棚の上には薄茶器を飾ります。茶碗は貴人台にのせます。
- 運び出し:貴人台は両手で扱います。右手横、左手前と持ち上げます。
- お茶を出す時:茶が点つと、台を両手で持ち、客付きに回り、回して定座に両手で出し、一膝さがって両手をつき控えます。(半東が取り次ぎます)
- 拝見:拝見に出す時、棗を清め、そのたたんだ袱紗の上に茶杓をのせて出します。
Vol.67:茶道は総合芸術・レシピ再掲
茶道は芸術の一つの分野であると考えられますけれども、それはあらゆる日本の古い伝統を持つ芸術が集まって一つになったものであると言うことができます。
書道、絵画、陶器、漆器、織物、花、料理、食事作法も一緒に勉強する機会に恵まれたと云いかえることもできます。
(※後半にごま豆腐のレシピ掲載あり。Vol.63と同様のため省略)
Vol.68:夏の点前復習(葉蓋・名水点・洗い茶巾)
皆様お盆休みはいかがでしたか?
私は、夫とアンコールワット観光へ出かけました。
夏の点前(復習)
- 葉蓋(はぶた):水指の蓋の替わりに、木の葉(梶の葉など)を蓋とする扱い。裏千家十一世玄々斎の創案。
- 名水点(めいすいだて):名水を汲んできて用いる際、水指にシメ飾りをしておく。濃茶でするのがふさわしい。
- 洗い茶巾:極暑の扱い。平茶碗に水を七分目ほど入れて出す。茶巾を絞る音で涼しさを演出する。
Vol.69:和敬清寂と利休の逸話
茶道の根本の心は「和敬静寂」(わけいせいじゃく)の四つにつきると、千利休は言います。
- 和:平和であり、人の和
- 敬:目上の人に対する尊敬、仲間や目下の人に対する敬愛
- 清:清く正しくかつ静か
- 寂:何事にも動じない心の静けさ
利休のお話「日本一の点前」
ある日、利休が招かれた茶会で、亭主があまりの嬉しさに震えて茶杓を落としたり茶筅を倒したりした。
門弟は笑ったが、利休だけは「日本一の点前で御座る」と感心した。
「私に点前を見せようと思ったのではない。ただ一服の茶を飲まそう、湯の冷めぬうちにと思って、怪我あやまちも心にとめず、ただ一心に茶を点てた、その心持に感心したのである」
誠心のないお茶は、誰もほしがりはしません。
Vol.70 & 71:【重要・検索多】貴人清次(きにんきよつぐ)
九月に入って、大分涼しくなってまいりましたね。
貴人清次(きにんきよつぐ)
貴人に随伴(お供)のあった場合、貴人、お供にも茶を点てる点前作法です。
貴人を清(きよ)、お供を次(つぎ)とも呼びます。
【道具の区別】
- 貴人(清):貴人台、新しい茶碗、新しい茶筅(白竹)、普通の茶巾。
- お供(次):普通の茶碗、千鳥茶巾(ちどりにたたむ)、煤竹(すすだけ)の茶筅。
【点前のポイント】
貴人には貴人台で、お供には普通の茶碗で出します。
お供にお茶を点てる時は、千鳥茶巾を使い、煤竹の茶筅を使います。
茶巾や茶筅の置き場所(清の道具の後に次の道具を置くなど)の扱いに注意が必要です。
お供がお茶を飲む時は、貴人に「お相伴を」と挨拶し、「お先に」と次礼し、遠慮していただきます。
これを「千鳥の盃」ならぬ「千鳥の茶」のように、交互にするわけではありませんが、清と次の区別を明確にして点前を進めます。
Vol.72:秋の茶会と会記
すっかり秋ですね。
読者の皆さんとお茶会ができたらいいな、と秋の夢を見ています。

茶会記(秋)
待合掛け物:秋江放櫂図(三本宗純)
本席掛け物:秋日詠菊花臨水(土佐光貞筆)
花入れ:唐物篭
花:ススキ、ワレモコウ、ハケイトウ、秋明菊、キセワタ、ホトトギス、タデ
釜:雲竜釜(古道弥造)
水指:交趾写し(得全造)
薄茶器:黒棗(宗哲造)
薄茶杓:銘 露(鵬雲斎家元作)
薄茶碗:黒 菊彫り(円能斎手造り)
主菓子:まさりぐさ(菊のこと)
Vol.73:茶掛(ちゃがけ)と禅語「桂花露香」
お茶室での掛け物を、茶掛といいます。
「墨蹟を第一とす」と言われ、禅僧の筆蹟が茶道具の中で一番だと言われていました。
「放下着(ほうげじゃく)」:捨ててしまえ、無一物になれ。
「喫茶去(きっさこ)」:まあ、お茶でも飲みなさい。
桂花露香(けいかは つゆも かんばし)
ここで言う「桂」(かつら)は、初秋の頃に香る木犀(もくせい)のことです。
木犀の花は、花そのものだけでなく、それからしたたり落ちる露までもかんばしい。
人間形成につとめ、磨きあげた人は、なにげない一言一行もみなかおり高く、なんとも言えない風趣があるものだという真意が含まれています。
Vol.74:中秋の名月と禅語「清風払明月」
十月一日は、お月見の日でした。
芸術はちょっと横に置いておいて、白玉粉でお団子を作り、残り物のフルーツをのせて月見をしました。
清風払明月(せいふう めいげつを はらう)
「清風 明月を払い、明月 清風を払う」という対句の前句です。
澄みきった空に明月がかかり、風が吹きすぎる清夜のおもむきを詠じたもの。
禅の意味では、迷いも悟りもきれいに払拭し、「物もたぬ袂は軽し夕涼み」と言う一切皆空・無一物の境涯にいたることを意味しています。
