教えて茶道(バックナンバー Vol.45~59)
春から初夏へ。名物裂や花入の専門知識、そしてカナダへの旅。
季節の移ろいと共に深まる茶道の知識と、当時の生き生きとした旅行記をまとめたアーカイブです。
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Vol.45:春の訪れと名物裂(めいぶつきれ)
日一日と春になってまいりましたね。
先日、お茶会へおよばれに行って参りました。待合席からぞうりを履いて、路地を歩き、にじり口より茶室へ。四畳半の凝った作りの茶室でステキでした。

名物裂(めいぶつきれ)について
名物裂と呼ばれる染織品は、多くは貿易品として鎌倉時代から江戸時代中期頃までに舶載されたものです。
茶の湯の世界で生まれた名物道具に付属する裂地として珍重され、それぞれの由来によって名称がつけられました。
- 名物道具の名称から:日野間道(ひのかんとう)、米市金襴(よねいちきんらん)など。
- 所持していた人の名前から:遠州緞子、珠光緞子、角倉金襴、織部緞子など。
- 地名や所蔵寺院から:興福寺金襴、鶴ヶ丘間道など。
- 文様の名称から:花兎金襴(はなうさぎきんらん)、笹蔓緞子(ささづるどんす)など。
Vol.46:釣釜(つりがま)と袱紗(ふくさ)の種類
三月ともなれば、もう春が待ち遠しいですね。
三月は釣釜(つりがま)が用いられます。
用いる釜は、雲龍、車軸、鶴首などの細く長いめのものがよいでしょう。
五徳(ごとく)はありませんので、五徳を蓋置きとして使うことがあります。
服紗(ふくさ)について
服紗は、服茶・袱紗・帛紗等とも書き、種類があります。
- 持ち服紗(使い服紗):亭主が腰につける点前服紗。主に塩瀬で、紫、朱、赤など。
- 出し服紗(古帛紗):濃茶点前の時に茶碗に添えて出される服紗。裏千家では主に古帛紗(こぶくさ)が用いられます。名物裂や古代裂などが使われます。
寸法:服紗は八寸八分×九寸三分の利休形。古帛紗は五寸角。
Vol.47:春の鶯と道具(裂地)の拝見方法
今朝、うぐいすの声が聞こえました。
裂地の拝見の仕方
■掛け物の拝見
床正面にすすんで座り、扇子を膝前に置いて一礼します。
まず本紙の語句を読み(画賛の場合は画を見てから賛)、続いて筆者を見ます。
次に表具(一文字、中廻し、天地)を順に見てゆき、表装の種類なども拝見します。
■古服紗の拝見
茶碗を拝見した後、古服紗を右手で取って、畳縁外正面に置きます。
両手をついて全体を拝見し、次に両肘を膝の上にのせて体を低くして古服紗を両手に取って細部を拝見します。
■仕服(しふく)の拝見
茶入れ、茶杓に続いて拝見します。
用いられている裂地の種類、地色や文様、さらにお仕立てなどをよく拝見します。あまり裂地の部分にはふれないようにして、緒とつながりを持つように心がけます。
Vol.48:香合(こうごう)の種類とスイートポテトレシピ
春も本番になってきましたね。桜もあっという間に咲きそうです。
香合(こうごう)
香料を入れる蓋付きの器。炭手前に際して使用します。
風炉用と炉用に分けられます。
- 風炉用:香木を入れるので木地・漆器が用いられます。(鎌倉彫、一閑張、堆朱、螺鈿など)
- 炉用:練り香を入れる為の陶磁製のものがすべてといえる。(交ち、染付、青磁、楽焼、織部など)

おいしいスイートポテトの作り方
材料:さつまいも1kg、無塩バター100g、生卵3個、生クリーム1箱、BP小さじ1、小麦粉100g、メイプルシロップ100cc、アーモンドスライス
- さつまいもを蒸して潰し、生クリームを加える。
- バター、シロップ、卵を混ぜ、芋と合わせる。
- 粉類を加え、アルミカップに盛り、アーモンドを乗せる。
- 180℃のオーブンで約40分焼く。(焼き上がりに黄身を塗る)
Vol.49:四月の禅語とマニラ旅行記
四月は花の季節。この時期、お茶会の床に「百花為誰開(ひゃっかたがためにひらく)」の一行物が、よく掛けられます。
春になって咲く花、その美しさは誰のためでもない。自然のままの姿であり、なんの思惑もない。そのような意味です。
先日、同門の方がお茶会をもたれ、水屋の手伝いに行って参りました。
我が家に滞在しているアメリカからの女子留学生にも、着物を着せてお運びを手伝わせました。
読者のコーナー:マニラより(愛の逃避行?)
マニラへ出張した最愛の夫を慕って旅した物語です。
一人旅の心細さもありましたが、いつもの”女は愛嬌と度胸”で乗り切りました。
空港で「パパに会うまで一頑張り!」と奮闘するも、警備員に止められたりハプニング続き。でも最後は無事再会!
Vol.50:透木釜(すきぎがま)と一周年
「教えて茶道」を配信して一年になります。皆様のおかげです。
透木釜(すきぎがま)
裏千家では、四月は透木釜を使います。
だんだんと暖かくなりますので、少し火から釜を遠ざける配慮です。
「透木(すきぎ)」は、釜の羽を支え、釜を透かして通風をよくするために使用する拍子木形の木片です。
春の掛軸
- 弄花 香満衣(はなをろうして かおり ころもにみちる):花をさわっていると、よい香りが衣に一杯ついた。
- 花開万国春(はなひらき ばんこくのはる):花が開いて、世界中が春を感じている。
Vol.51:花入れの歴史と利休の創意
暑かったり肌寒かったりと気候の変化が激しいですね。
花入れ(はないれ)
室町時代後期まで、花入れに関しては唐物(胡銅や青磁)が重きをなしていました。
千利休が、たやすく茶の湯へ案内する手段として考えついたのが創作茶道具です。
- 園城寺(おんじょうじ):竹筒の一重切花入。
- 桂籠(かつらかご):桂川の漁夫の魚篭(びく)を花入れに見立てたもの。
- 顔回(がんかい):ひょうたんの上半分を切り落としただけの花入れ。
古田織部は竹筒ではなく、備前、伊賀、唐津などの焼物の花入れを使って掛け花入れを楽しみました。
Vol.52:花入れの真・行・草
花入れの種類と扱い
花入れの種類を真(しん)、行(ぎょう)、草(そう)に分けられます。
- 真(しん):仏具からでた「古銅」「青磁」「染付」「赤絵」など。
例:胡銅鶴首花瓶、青磁鳳凰耳花瓶。 - 行(ぎょう):釉薬のかかった国焼物。「瀬戸」「丹波」「膳所」「高取」など。
(※楽焼でも形状によっては行の扱いをすることもあります) - 草(そう):釉薬のかかっていない国焼物。「備前」「伊賀」「信楽」「常滑」や、南蛮もの、楽焼など。
竹、籠、瓢(ひょう)などの花入れも<草>の扱いをします。
Vol.53:ゴールデンウイーク旅行記と薄板(うすいた)
榊原温泉一泊旅行を楽しんで参りました。
留学生を連れて、倶留尊(くろそ)山登山、伊賀上野の忍者屋敷、そして温泉。女人高野と呼ばれる室生寺(むろうじ)では石楠花が満開でした。

花入れの薄板について
花入れを床に飾る時には薄板を用います。
- 真の花入れ:真塗りの「矢筈板(やはずいた)」。
- 行の花入れ:塗物の「蛤端(はまぐりば)」。
- 草の花入れ:木地の蛤端。
※竹、瓢、素焼きの花入れの場合は、薄板を湿らせて用います。
※「籠花入れ」は、畳床であっても薄板は用いません。
Vol.54:風炉(ふろ)の季節と柄杓・杜若の茶会
五月から、風炉の季節になります。
柄杓(ひしゃく)の扱いが変わります。「み、そぎぞ、なつのしるしなり」と覚えます。
- 風炉用:合が小ぶりで、柄の切止の身の方が削ってある。
- 炉用:合が大ぶりで、切止の皮目の方が削ってある。
五月の茶会道具
花入れ:唐物写し牡丹籠
花:オオヤマレンゲ
香合:奈良彫り 兜(かぶと)
棗:八橋蒔絵平棗(やつはしひらなつめ)
菓子:唐衣(からころも)
※「唐衣」「八橋」といえば、伊勢物語の杜若(かきつばた)を連想させる取り合わせです。
Vol.55:茶花十二ケ月(5月~7月)
茶花もこの頃では、珍しいものや新しいものが多くなりました。従来のものをあげてみましょう。
【5月 皐月】
踊子草、山吹、卯の花、芍薬、藤、水芭蕉、都忘れ、牡丹、黒百合、オオヤマレンゲなど。
【6月 水無月】
矢車草、あざみ、露草、蛍袋、紫陽花、笹百合、下野、半夏生、紫露草など。
【7月 文月】
唐糸草、半夏生、菩提樹、朝顔、昼顔、夕顔、夏椿、月見草、白木槿など。
Vol.56:別れと旅立ち・茶花十二ケ月(8月~12月)
慣れ親しんだ留学生が帰国しました。別れの時にはやはり涙でした。
その疲れも取れないうちに、私は今日、カナダへ旅立ちます。
【8月 葉月】
鷺草、芙蓉、女郎花、木槿、吾亦紅、山ぶどうなど。
【9月 長月】
萩、芒、撫子、桔梗、秋海棠、藤袴、杜鵑草(ほととぎす)など。
【10月 神無月】
竜胆、梅鉢草、秋明菊、野菊、白萩など。
【11月 霜月】
数珠玉、錦木、榛の実、寒菊、照り葉、初嵐椿など。
【12月 師走】
水仙、蝋梅、寒菊、西王母椿など。
Vol.57:茶花十二ヶ月(1月~4月)
【1月 睦月】
寒牡丹、曙椿、白玉椿、梅、福寿草、土佐水木など。
【2月 如月】
雪割草、節分草、満作、黄梅、白梅、黒文字など。
【3月 弥生】
桃、紅梅、利休梅、木瓜、雪柳、貝母、蕗の薹、侘助椿、菜の花など。
【4月 卯月】
連翹、三椏、辛夷、海棠、一人静、小手毬、華鬘草など。
Vol.58:カナダ旅行記(ナイアガラ・PEI・ロッキー)
5月23日~30日まで、カナダを旅行して参りました。
ナイアガラの滝
霧の乙女号に乗船して滝近くへ。青色のカッパを着て、しぶきがかかる、かかる!
目も開けていられないほどにしぶきはきつく、靴はずぶぬれになりましたが、巨大な滝を間近に実感できました。
プリンスエドワード島(赤毛のアン)
「赤毛のアン」の故郷をたずねる日です。
アンのモデルになったグリーンゲイブルズハウス、恋人の小径、オバケの森…。輝く湖を見れば、私達も立派にアンになりきっていました。時を忘れさせる、おとぎの国でした。
昼食はとれたてのロブスター。海老なのにカニのような味でした。
カナディアンロッキー
雪上車で氷河の上へ。青い神秘的な色と圧倒的な迫力。
レイクルイーズは、光り輝く氷河をバックに湖面はエメラルド色。天候に恵まれ、美しい風景にいつまでも湖面を見ていたい気持ちになりました。
ゴンドラで山頂へ行けば、大パノラマの山々とバンフの町が一望できました。
Vol.59:入梅と蛍(ほたる)の道具・花の訂正
いよいよ入梅。夏の陣が始まります。
この頃のお道具の取合せに、螢(ホタル)を使います。
お菓子の銘に「沢辺のホタル」。
それを、螢籠(ほたるかご)に盛り合せる。四角で、廻りが紗(しゃ)の布地で透けていて、涼しく見えます。
茶杓は「螢」句銘「雨夜にも星の影見える蛍かな」。
季節の点前
葉蓋、名水点て、洗い茶巾のほか、道具による点前(茶筅荘、茶入荘など)や、貴人点(きにんだて)などがあります。
花の訂正
Vol.57で「寒羽根」と書きましたが「突羽根(つくばね)」の間違いでした。
突羽根:実には4枚の羽状の苞がつき、羽根つきの羽根によく似ている。
伊予水木:3月、葉より早く淡黄色の小花を開く。
油瀝青(あぶらちゃん):果実や材に精油が多く燃えやすいのでこの名がある。
