教えて茶道 バックナンバー (Vol.15~29)まとめ

教えて茶道(バックナンバー Vol.16~30)

夏の盛りから秋の深まり、そして炉の季節へ。
季節の移ろいと共に変化するお茶の作法や道具、そして当時の時事ネタ(シドニー五輪など)もそのまま残したアーカイブです。
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Vol.16:名水点(めいすいだて)と土用の丑

暑い日が続いております。
7月30日は土用の丑の日、ウナギを食べて暑い夏を乗り切ろう。
関西では、商人の町で、ウナギは腹開き、関東は、武士の町なので、腹からでは切腹になるので、背開きになっているそうです。

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名水点て(めいすいだて)

名水を茶の湯に使用することは、昔からさかんに行われていました。
京都では、醒ヶ井、利休井戸、宇治川三の間の水などは、昔から名水として有名です。
名水点ては、そのような水を汲んできて、茶の湯に用いるのですが、客に名水であることを示す為に、水指にシメ飾りをしておきます。
水指は、新しい木地の釣瓶を使用します。まず水で十分に湿らせて置き、シメを張ります。
シメの張り方は、前後に二つ、両横に一つずつ幣をつけて、勝手付の向こうの角で縄を結びます。
なお、名水点は、濃茶でするのがふさわしいのです。

Vol.17:洗い茶巾(あらいちゃきん)と夏の雲

この間、歩いていて、見上げれば、立派な入道雲が。
「白雲幽石抱(はくうんゆうせきをいだく)」夏の雲は、入道雲のように、動かずに石山を抱きこむように浮かんでいる。
対して「白雲自去来(はくうんみずからきょらいする)」の場合は、雲はあちらへ行ったりこちらに流れたりと動く。こちらは秋、9月に用います。

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洗い茶巾

これは、極暑の扱いです。
ごく浅い平茶碗に、水を七分目ほど入れて、茶巾の端と端との対角線を取って、二つに折り、その端を茶碗の右方に少し出し、その上に茶せんを仕組み、茶杓を普通にのせて置きます。
茶碗に水が入れてあるので、運び点前でも棗、茶碗と同時に運び出すことはしません。
茶碗だけを始めに運び、両手扱いします。棗は右手の平にのせて、建水と一緒に運びます。
点前の中で、茶巾を上に引き上げる時は、ゆっくりと水の音が聞こえて、涼しさを感じさせるようにしましょう。

Vol.18:立山登山と茶杓(ちゃしゃく)の銘

私は、立山登山して参りました。
山の頂上で、山の景観を鑑賞しながら、お抹茶を一服頂こう、そんな大志を抱いて、旅籠にお茶とお菓子を持参しました。
しかし午後からは毎日雨で、テントの中で頂くことになりました。持参したお菓子は、仲間に美味しいと評判でよかったです。

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茶杓(ちゃしゃく)

ひとかけらの竹片にみえる竹の匙ですが、実は茶杓は茶の湯の歴史と密接な関係を持ち、しかも茶人がこだわり抜いた道具なのです。
茶杓には筒が添い、箱がつくられ、銘が書かれます。銘は作者の筆跡が残されるので、茶杓鑑賞では最も重要な見所です。

普段のお稽古では、その季節に応じた名前を工夫します。
夏の頃では、清流、清風、せせらぎ、岩清水。
少し前の夏祭りの頃は、宮柱、鈴の緒。
お盆の頃では、面影、はすの葉など。

Vol.19:茶道具(楽焼)と海外の道具見立て

先日、裏千家資料館に行きました。「南海の布と茶道具類」の展示を見て、お抹茶を頂いてまいりました。
その席では、イラン製の蓋置き、銀製のきれいな物でした。ダマスカス製の花入れ、模様が海外の物かと思わせる雰囲気がありました。
いろいろな物を代用する考えがいいですね。柔らかい頭、発想を心掛けましょう。

茶碗 楽焼き

楽焼は茶の湯の茶碗に始まります。京都の楽家歴代の作品に加えて、京都玉水焼、金沢の大樋焼、さらにこれらの窯で焼かれた茶人の手捏ね(てづくね)をいいます。
大寄せの茶会では、一碗目が、黒か、赤の楽焼の茶碗が出されます。
ニ碗目は、萩焼き、高麗もの。
三碗目は、永楽のような、京焼き風の絵柄のきれいなお茶碗が出されます。

Vol.20:茶箱(ちゃばこ)と点前の種類

八月最終の週に入りました。昼間はまだまだ暑いですが、朝晩は虫の声や露がおりていて初秋を感じさせます。
茶杓の銘も、虫の声、萩の露、草の露が使えます。

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茶箱

茶箱は、箱の中に、点前道具一式を仕組んだ携帯用もので、旅先でお茶を一服いただけるようにしたものですが、今では、ちょっとした趣向で座敷や庭などでされるようです。

点前作法としては、雪、月、花、卯の花、和敬、色紙点前があります。
卯の花点前:夏季の点前。茶箱の平点前とも言うべきもので、器物の扱いがわかりやすく、茶箱を習い始めはこのお点前から習得します。
色紙点前:御所籠を用いて、古袱紗が最大限に活用されており、四枚の古袱紗と茶巾箱を置き合わせた道具の配置が、ちょうど色紙を散らしたように見える所から、色紙点前と名付けられました。

Vol.21:二十四節気と雑節について

九月に入り、初秋の気配が色濃くなってまいりました。
暦の上では立秋は過ぎて、九月七日は、白露(はくろ)です。
二十四節気の一つ。太陽の黄径が一六五度の時。秋分の十五日前、すなわち太陽暦九月七日頃に当たり、この頃から秋気が漸く加わります。

二十四節気とは

太陽年を太陽の黄径に従って二十四等分して、季節を示すのに用いる語。
立春、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨、立夏、小満、芒種、夏至、小暑、大暑、立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降、立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒。

雑節(ざっせつ)

節分、初午、八十八夜、入梅、半夏生、二百十日、彼岸など。
彼岸は、春分、秋分の日前後七日間を称し、この日祖先の霊を供養し、墓参りなどが行われます。

【お茶の言葉】お茶を引く
わが国でもお客がなくて張店にいる娼妓、あるいは座敷に招かれないでいる芸者などのことを「お茶を引く」というようになった。また、お客がなくて手すきな妓はお茶を挽いたことから生まれた言葉とも言う。

Vol.22:中秋の名月と月見団子

9月12日は中秋の名月でした。
お団子をお供えしたり、ススキや秋の花を飾ったり、そんな風流なことは、皆様の家庭ではなさいませんか?

江戸時代では三宝(さんぽう)にだんごとともに枝豆、さといも、クリ、カキ等を盛り、花瓶にススキと秋草をいけて名月に供えるようになった。
我が家では、月見団子を食べました。
この日に、「きぬかつぎ」といって、小芋を洗ってきれいにして蒸します。それを半分の皮を取り、それに田楽味噌をつけて食べます。
月見の茶席の点心(2、3品の軽食)に、きぬかつぎが使われます。

【お茶の言葉】茶化す
茶を煎じた残りの滓、つまり「茶カス」ということから生まれた言葉であるが、それが転じて「ごまかす」「なぶる」とか、あるいは「相手にしない」という意味に用いられるようになった。

Vol.23:茶碗の種類(唐物・高麗・和物)

シドニーの空に、金銀の日本の花が咲きました。
今は、テレビのオリンピック中継から目がはなせませんね。

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唐物(からもの)

中国から輸入された物総称。
代表的な天目茶碗(曜変、油滴、木の葉など)、青磁、白磁、染付(景徳鎮)など。

高麗物(こうらいもの)

大半は高麗時代すぎ李朝期における作品。
その典型が井戸茶碗であり、さらに粉引(こひき)刷毛目(はけめ)三島(みしま)、呉器(ごき)などがあります。

和物(わもの)

日本国内で作られたもの(国焼き)。
楽焼、志野、織部、唐津、信楽、萩、薩摩、高取、丹波、仁清、乾山などがあります。
奈良では赤膚(あかはだ)焼きが有名です。

Vol.24:栗大福のレシピ

朝晩、大分涼しくなってきました。
新米も出始め、秋の実りの季節です。リンゴ、梨、クリ、まだまだこれから楽しみが増えます。
そこで、今日は、クリ大福に挑戦しましょう。電子レンジと耐熱容器さえあれば、じつに簡単です。

電子レンジで作る栗大福

材料
白玉粉(又はもち粉):100g、水:200cc、砂糖:50g
あずきあんこ(缶詰):1缶、クリ(ビン詰め):10個、片栗粉

作り方

  1. 耐熱容器に、分量の粉、水、砂糖を入れて、よくき混ぜる。
  2. ラップとふたをして、レンジで4分。
  3. とりだして、1度よくかき混ぜて、今度はふただけをしてさらに2分。
    (これで外側の皮「ぎゅうひ」ができあがります)
  4. まないたの上に片栗粉をふりかけておく。その上に中身をとりだして、細長くのばして10等分にする。
  5. 手にひっつかないように、片栗粉を手につけて、一つのかたまりを丸くのばしてあんことクリを包みます。

【お茶の言葉】お茶の子さいさい
昔の人は、食事の前などに、よくお茶を飲む習慣があった。この時出すお菓子のことを「お茶の子」といい、食事の前に簡単に食べられるので「朝飯前」と同じような意味になった。

Vol.25:中置(なかおき)と茶会記

10月には入りました。そろそろ火の暖かさが恋しくなってきました。
そこで、風炉も、お客様の方へ少し近づける中置(なかおき)と言う点前になります。
風炉を点前畳中央に置きますので、水指は左端、少しななめに置きます。ですから、大きいのではなく、細長い水指を使用します。

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10月1日の茶会記

床(掛け軸):明歴々露堂々(めいれきれきろどうどう)
花入:黄瀬戸
花:雁草、白フジバカマ、水引草、桜タデ、沢白菊、桔梗、カリヤス、ワレモコウ、ナデシコ
香合:鳴子
水指:束柴
薄器:菊の絵大棗
茶杓:銘 神楽(かぐら)
茶碗:大樋焼き

【お茶の言葉】茶々を入れる
お茶を飲んでいて小休止するわけだが、「お茶にする」には、何か連続しているものの途中で、途切れを入れるという意味がある。「茶々を入れる」はここから来た言葉で、妨害する意味である。

Vol.26:禅語「明歴々露堂々」と金木犀

外は金木犀の香でいっぱい。この香をかぐと、秋だな‐って、しみじみ感じます。

明歴々露堂々(めいれきれきろどうどう)

禅語で、簡単に言いますと、「歴然と明らかに堂々と顕露していて、すこしも隠すところがない」と言う意味です。
真理は高尚深遠なところに秘在しているものと考えられているが、実はごく平凡卑近なところにも少しもかくす所なくはっきりと現れている。
自分に隠すことがあったり、嘘をついていると、堂々とした態度がとれない。迷うことや悩みがある時に、廻りを見渡せば、きっと自然の中に答えが見つかるはずだ。答えは、身近な所にころがっているのに、見えていない。
私は、この言葉がとても好きです。

【お茶の言葉】茶番
もとは、芝居小屋で客のために茶の用意や給仕をするものを茶番といった。ところが、その茶番が即興で芝居をやった。これが「茶番狂言」で、転じて、「底の浅い下手な芝居」を「茶番」というふうになった。

Vol.27:茶会の会記(秋の道具組)

大寄せの茶会へ行きますと、待合部屋に、「会記」があります。
これはその日のお茶席に使用する道具を記したものです。

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会記の例

待合掛け物:淡々斎 画賛 白雲去来(秋の雲)
本席掛け物:鵬雲斎家元筆 虫声風露冷
花入れ:信楽焼き 銘:野辺の遊
花:残花(ヤクシマヒメボタン、オトコエシ、ケイトウ、ハゼ、キキヨウ、ワレモコウ、サクラタデ)
釜:色紙釜
風炉:円能斎 反古張(ほごはり)
水指:赤細水指(中置のため)
薄茶器:松葉蒔絵
薄茶杓:銘 秋の声
薄茶碗:銘 閑日 左入造
主菓子:千代見草(菊のかたち)

Vol.28:名残(なごり)の月と侘びた道具

10月は名残の月です。半年にわたって親しんだ風炉とも今月限り。
去年の口切から使い続けてきたお茶が、風炉の終わりの時期になると残り少なくなるため、茶そのものに名残を惜しむ侘びた茶事です。

名残の道具

欠風炉(かきぶろ)
鉄風炉の甑や肩の一部が欠けてなくなったものや、割れを継いだもの。
破れ風炉(やれふろ)・やつれ風炉とも言って、この時に使います。

欠け茶碗
欠けや割れの入った茶碗に繕いを施した物など使います。
このような、この時期なればこそ侘びた情趣に心をよせたいものです。

【お茶の言葉】お茶の水
東京名所の一つ、お茶の水の起源は、徳川家康がこの地の涌き水を飲み、その美味を褒めてからお茶の水に用いるようになったので付けられた名であると言う。

Vol.29:開炉(かいろ)と夜咄(よばなし)

紅葉便りが気になる季節になりました。
これからだんだんと、赤や黄色が多くなり、梢の錦、錦繍(きんしゅう)唐錦(からにしき)の銘が使われます。

開炉(かいろ)

10月末か、11月始めの亥の日(いのひ)に行います。この日は、火事がおこり難いという言い伝えからです。
お茶の世界でのお正月のようなものですから、お餅をついていのこ餅やおぜんざいをお出ししたりもします。

夜咄(よばなし)

秋から冬にかけて、日没からはじめる茶会のことをよばなしと言う。
短檠(たんけい)手燭(てしょく)を使って暗やみと灯の明暗の世界を演出するところにロマンがあり、秋の夜長を楽しむ茶事である。

利休七則

夏は涼しく、冬は暖かく、
炭は湯のわくよう、花は野にあるよう、
刻限は早いめに、降らずともあめの用意、
相客には心をつけること

Vol.30:炉の薄茶点前と天下茶屋

菊薫る季節、秋晴れのいい天気が続きます。

炉での薄茶点前

風炉から炉へ変った初めの日は、ベテランの方でも、基本になるお薄点前からお稽古いたします。
準備する上で注意すべきことは、竹の蓋置を使用するときは節が中ほどにある炉用を使用します。
柄杓も炉用で、柄の切止めが皮の方にあるものを使います。

水指には八分目の水を入れ、建水も清めて、蓋置きを入れ、柄杓を水で清めて、合を下にして建水の縁にかけておきます。
両手で水指を持って茶道口に座り、水指を建て付けに置いて襖を開け一礼します。
次に茶碗とお薄器を持って入り、水指正面に置きます。
ふたたび、建水を左手に持って入り、襖を閉めます。
居前に進んで、炉縁の内隅をねらって座ります。

天下茶屋(大阪市西成区)

今から約400年あまり昔、太閤秀吉が住吉大社参詣や堺への行き帰りの際 茶亭に立ち寄り、茶の湯を楽しみ、付近の風景を賞したことから、その茶亭を殿下茶屋の名が起こり、のち、天下茶屋と称するようになったと言われる。