教えて茶道(バックナンバー Vol.120~134)
秋から冬へ。特殊な点前「入子点」の解説や、茶碗の鑑賞(唐物・高麗・和物)、そしてオーストラリア旅行記など、多彩な話題を当時のまま残したアーカイブです。
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Vol.120:入子点(いれこだて)と茶碗の形
先日友人が足を怪我し、立ち振るまいが不便な時に「入子点」の稽古をしました。

入子点(いれこだて)
新しい杉木地曲の建水に、茶巾、茶筅、茶杓を仕組んだ茶碗を入れて持ち出すことからこの名があります。
老人や幼い子供など、運びが困難な場合に行う点前です。
必ず棚物を使い、水指や薄茶器をあらかじめ飾っておくため、建水に入れた茶碗を一回運ぶだけで済みます。
茶碗の形(鑑賞)
- 天目茶碗:中国由来。口造りが一段くびれている。
- 井戸茶碗:朝鮮由来。高台脇から45度で立ち上がる形。
- 筒茶碗:垂直に立ち上がった深い茶碗。
- 平茶碗:浅くて口の開いた夏用茶碗。
- 沓茶碗(くつちゃわん):蹴鞠の沓に似た形。織部焼に多い。
Vol.121:大徳寺の茶会と茶碗の鑑賞(口造り)
先日、京都大徳寺内のお寺で大寄せの茶会がありました。
濃茶席の主菓子は「きせわた」。薄茶席はお寺の広い縁側で、庭の風情を見ながら楽しみました。
茶碗の鑑賞(触感)
茶碗は手に取って親しく触れ、触感で味わうのが特徴です。
口当たりは、磁器(青磁・白磁)は硬く、陶器(井戸・楽・萩など)は柔らかく感じられます。
口造りの形(直口、玉縁、端反り、姥口など)によっても口当たりが違います。
水屋仕事:茶入の後始末
残った茶を出し、乾いた柔らかい布巾で内部や蓋の溝を丁寧に清めます。
蓋をして仕覆に収め、休め緒に結んでおきます。
Vol.122:英語で茶道と茶碗の銘・箱書
私は今、カナダ人の先生に英語でお茶を習っています。
「何十万円の茶杓より、自分で作った茶杓の方がよほど良い」など、凝り固まった考え方を改める良い機会になっています。

茶碗の銘と箱書
茶碗の銘には、所有者名(有楽井戸、喜左衛門井戸)、寺名(大徳寺呉器)、歌銘(小井戸忘水)などがあります。
銘は普通、箱に書かれ(箱書付)、その筆者が有名な茶人であるほど尊重されます。
水屋仕事:花入の後始末
材質(真・行・草)によって扱いが異なります。
陶磁器は湯通しして乾燥、竹や籠は空拭きして陰干しします。
Vol.123:十月の趣向と道具の保管
十月の茶会の趣向
銘:寒露、霜降、秋時雨、深山路、立田姫、山雀、木枯など。
掛物:閑坐聴松風、楓葉経霜紅など。
趣向:名残の侘びた趣向。やつれ風炉や割れをついだ茶碗などを使い、行く秋の風情を楽しみます。
水屋仕事:道具の保管
大切な道具は箱にしまい、それを風呂敷で包みます。
風呂敷には札をつけ、道具の名前を書き入れておくと整理しやすく、茶人の知恵といえます。
Vol.124:【重要】中置(なかおき)の点前と立ち振る舞い
十月になりましたので、決まり事を述べましょう。
中置(なかおき)
十月だけの点前。風炉を畳の中央に置き、水指を左側に置きます。
細長い水指を使います。
蓋置は水指正面、柄杓は膝頭中央に。
大板や中板などの敷板を使うこともあります。
立ち振る舞いのポイント
水屋でも、きちんと座ってから道具を取り上げるようにしましょう。
急いでいる時など、つい立ったままで道具を取り上げる人がいますが、誰も見ていなくても丁寧な所作を心がけることで、美しい振る舞いが身につきます。
Vol.125:十月の茶会記(鉄欠風炉と金継ぎ茶碗)
先日のお茶会では、すばらしい「鉄欠(てつかき)」の風炉が使われていました。
大きい風炉に藁灰がきれいに敷き詰められ、金継ぎされた欠け茶碗も出されており、十月らしい趣でした。

茶会記(抜粋)
掛物:淡々斎 横物 対月
花入:玉編八角手付篭
花:残花(ノジ菊、秋明菊、ナデシコなど)
風炉:時代 鉄欠
水指:黄瀬戸 細水指(中置のため)
茶杓:円能斎作 銘 幾代の茶人(宗旦遺愛の松でできたもの)
主菓子:菊花金団
Vol.126:五行棚(ごぎょうだな)と陰陽五行説
先日のお茶会では五行棚を使用していました。
五行棚(ごぎょうだな)
十月の中置で、風炉をおさめる棚として玄々斎が好まれた物。
天板と地板の間に、木(竹の柱)、火(炭)、土(風炉)、金(釜)、水(湯)がおさまっていることから名づけられました。
竹の三本柱は、客付二節(陰)、勝手付三節(陽)など、陰陽五行を体現しています。
陰陽五行説とは
宇宙の万物は陰と陽の二気によって形成され、木火土金水の五元素によって変化・循環するという中国古代哲学。
茶道にはこうした哲学や禅の精神も取り入れられています。
Vol.127:読者直伝「練り切り」レシピと挨拶の心得
イタリアの読者の方から、手作り練り切りのレシピをいただきました。
海外では和菓子が手に入らないため、工夫されているそうです。
電子レンジで作る練り切り
材料:白こしあん300g、白玉粉10g(水で溶く)
耐熱容器に入れて混ぜ、レンジにかけては混ぜる作業を繰り返し、粘りを出します。
色づけして、季節の形に細工します。(例:栗を使って「いがぐり」など)
稽古の心得(挨拶)
先生への挨拶はもちろん、他の方々にも挨拶を。
「お稽古をお願いします」「ありがとうございました」「お先に失礼します」。
慣れてくると忘れがちな基本ですが、感謝の気持ちを込めて行いましょう。
Vol.128:十一月の趣向と初雪の野点
奥美濃の山へ紅葉狩りに行きましたが、初雪にあってびっくり。
東屋で雪景色を見ながらの野点は格別でした。
十一月の茶会の趣向
銘:初霜、時雨、木枯、冬椿、落葉、炉開きなど。
掛物:開門落葉多、壺中日月長など。
趣向:名残の気分を一新し、開炉を迎えます。口切りの茶事に招かれるのは茶人冥利に尽きるとされます。
Vol.129:【重要】口切の茶事と開炉(かいろ)
11月から炉の季節になります。

口切(くちきり)の茶事
新茶を詰めた茶壷の口を開け(口切)、その茶を用いて行う茶事。
茶家にとってのお正月のような、最も重い行事です。
客の前で茶壷の拝見があり、水屋で茶を挽き、その挽きたてのお茶で濃茶を点てます。
開炉(かいろ)
11月の亥の日(いのひ)に炉を開きます。火事が起こりにくいという言い伝えからです。
善哉(ぜんざい)や猪子餅(いのこもち)を頂いたりします。
国語の時間:醍醐(だいご)
牛乳を煮詰めた「酪」「酥(そ)」のさらに上澄みにある、最高の味の乳製品。
転じて、物事の神髄や本当の面白さを「醍醐味」と言うようになりました。
Vol.130:紅葉狩りと茶碗(陶器と磁器)
今年は紅葉が素晴らしいです。美しいものを美しいと言える心は大切にしたいですね。
茶碗:陶器と磁器
- 陶器(土もの):粘土を原料に焼いたもの。吸水性があり、温かみがある。
- 磁器(石もの):陶石などを原料に高温で焼いたもの。ガラスに近く、硬い。
稽古の着物(足袋)
茶席では足袋は清潔な白が絶対条件。
茶会へ行く時は必ず替えの足袋を持参し、席入りの前に履き替えます。
Vol.131:オーストラリア旅行と和物茶碗
明日からオーストラリアへ出発します。
和物茶碗(わものちゃわん)
日本で作られた茶碗の総称。
瀬戸焼(中国の影響)、萩・唐津(朝鮮の影響)。
日本独自の楽茶碗、織部・志野、そして京焼などがあります。
Vol.132:帰国後の茶会と十二月の趣向
オーストラリアから帰国しました。エアーズロック登頂やペンギンパレードなど楽しんできました。
帰国後すぐの茶会では、夜学(やがく)という珍しい蓋置や、明眸(めいぼう)という銘の楽茶碗に出会いました。
十二月の茶会の趣向
銘:冬の月、寒月、枯野、冬ごもり、千鳥、暦など。
掛物:歳月不待人、無事、関など。
趣向:忙しい師走ですが、「忙中閑」の侘びた趣向で。歳暮の釜。
Vol.133:楽茶碗と点前の位置関係
寒暖差が激しいですがご用心を。
お点前の位置関係(メモ)
- 座る方向:内角ねらい(炉縁の角に向かって座る)。
- 棗や茶筅の位置:水指と釜の中心を結んだ線上。
- 蓋置の位置:畳目5目、5目くらいのところ。
楽茶碗(らくちゃわん)
利休が長次郎に指導して作らせたのが始まり。
手捏ね(てづくね)で作られ、侘びた美しさと手触りの良さが特徴。「一楽二萩三唐津」と言われます。
雨コートの用意
着物での外出時、雨コートや替え足袋、雨用草履カバーなどの準備をしておくと安心です。
Vol.134:家元継承と唐物茶碗・着付けの心構え
十二月二十二日、裏千家前家元が長男に家元を譲られました。
若い家元が伝統を守りつつ、時代に合わせた変化や融和をしていくことを望みます。
唐物茶碗(からものちゃわん)
中国や朝鮮で作られた茶碗。
天目(てんもく):中国製。貴人点などに用いられる。
高麗茶碗(こうらいちゃわん):朝鮮製。井戸、蕎麦、熊川など。侘び茶で賞用された。
着付けの心構え
茶席での着物は清潔感が第一。色使いを少なくし、小物の色を揃えるなどして調和をとります。
着慣れない場合は前々から準備し、余裕を持って着ることが大切です。
