教えて茶道(バックナンバー Vol.105~119)
季節は春から初夏へ。スランプからの復活、風炉の知識、そして水屋での心得など、茶道の裏方や精神面にも踏み込んだ内容になっています。
※タイトル(緑色の文字)をクリックすると本文が開きます。
Vol.105:風炉(ふろ)の基礎知識と薄茶席の役割
パソコンのトラブルから復活しました。いい勉強になりました。
お茶の勉強を始めましょう。

風炉(ふろ)について
風炉点前は五月の初風炉から十月の名残まで行います。
素材は鉄、銅、土、木など様々。
灰型には二文字押切り、遠山、向山などがあり、風炉の種類によって使い分けます。
仕上げに「蒔灰(まきばい)」を雪に見立てて蒔き、涼しさを演出することもあります。
風炉の格(真・行・草)や五行(木火土金水)の哲理も込められていますが、すべては「お客様においしいお茶を差し上げるため」の工夫です。
茶事:薄茶
後炭が終わると煙草盆が出され、くつろぎの時間となります。
濃茶席の緊張とは対照的に、干菓子とともにさらりとした薄茶を味わい、会話を楽しむ場です。
Vol.106:美意識を育てる・水屋の心得・国語の時間
点前だけ上達するのが茶道ではありません。
道具の取り合わせや、季節に合わせた使い分けなど、自分なりの美意識を育てることが大切です。
水屋での心得
水屋は常に清浄であること、整理整頓を心掛けることが基本です。
道具を元あった場所に戻すこと、茶巾や茶筅を整えておくことなど、次に使う人への気配りが必要です。
茶事:送り礼
最後の挨拶は無言で行います。万感の思いを込めた無言の礼は、最初の迎付と対をなしています。
国語の時間:稽古に神変あり
「神変」とは人知では計り知れない霊妙な変化。
日々の稽古や努力によって、人間の力を超えた境地に達することができるという意味です。「天才とは努力である」に通じる言葉です。
Vol.107:水屋(みずや)の語源と構造
読者の方から「水屋って食器棚のこと?」という質問をいただきました。
確かに昔は食器棚を「みずや」と呼んでいましたね。

茶道の水屋
茶室に付属する勝手、台所で、茶事の用意を整える場所。
棚(通し棚、釣り棚)、流し(銅張り)、竹釘(茶筅などを掛ける)などが機能的に配置されています。
大切な器物を置く場所であるから、清潔を保持しうるように注意が必要です。
茶事の種類
- 正午の茶事:最も正式な形。
- 朝茶:夏の涼しい朝に行う。
- 夜咄(よばなし):冬の夜長を楽しむ。
- 一客一亭:客一人を招く親密な茶事。
Vol.108:六月の趣向と「つもりちがい十ヶ条」
六月に入りました。雨に似合うアジサイが満開です。
六月の茶会の趣向
銘:落し文、蛍狩り、緑陰、五月雨、青苔、河鹿(かじか)など。
掛物:雲収山岳青、清流無間断、一雨潤千山など。
趣向:涼一味、雨を楽しむなどの趣向で。
つもりちがい十ヶ条
高いつもりで低いのが教養
低いつもりで高いのが気位
深いつもりで浅いのが知識
厚いつもりで薄いのが人情
…(自戒を込めて読み返したい言葉です)
Vol.109:時間厳守と国語の時間「清風動修竹」
茶事において時間は重要です。
亭主は客の到着に合わせて準備しています。遅刻は厳禁。また、退出のタイミングも大切です。
水屋での準備(茶巾・茶筅)
茶巾は常に清潔で白い麻のものを使います。
新しい茶筅は、糊を落としてから使います。
国語の時間:清風動修竹(せいふう しゅうちくを うごかす)
竹は風がなければ動きません。「清風」が吹くからこそサラサラと揺れるのです。
茶道具も人間も、場に新しい風を吹き込む「清風」のような存在でありたいものです。
Vol.110:優雅な動作のコツと国語の時間「逆鱗」
お茶は「見せるもの」。見る人をうっとりさせるような優雅な動作を心がけましょう。
動作のポイント
- 棗を清める時:肘を張りすぎず、自然に優雅に。
- 茶杓を拭く時:膝の線と平行に真っ直ぐ持ち、力を抜いて拭く。
- 柄杓でお湯を入れる時:手先だけでなく、肘から返すように。
- 茶碗を持つ時:指を揃え、半月の形になるように。
国語の時間:逆鱗(げきりん)
竜の喉元にある逆さに生えた鱗のこと。
これに触れると竜は怒り狂うことから、目上の人の怒りに触れることを「逆鱗に触れる」と言います。
Vol.111:ホームステイ体験と水屋での「茶の掃き方」
我が家に女子高校生2人がホームステイに来ていました。
英語の勉強になるかと思いきや、無口な子たちで…。でも自分も子供の頃はそうだったなと思い返しました。

水屋仕事:茶を掃く(はく)
茶器にお茶を入れることを「掃く」と言います。
濃茶:茶こしでこし、漏斗(じょうご)を使って茶入に入れます。
薄茶:茶器の中心にこんもりと盛るように入れます。
国語の時間:おあいそ
「おあいそお願いします」と客が言うのは間違い。
店側が「愛想づかしでございましょうが」とへりくだって使う言葉です。
客は「お勘定」と言うのが正解。
Vol.112:七月の趣向と水屋での菓子器の扱い
ホームステイの子たちとの別れはやはり涙でした。
次の課題に向かって前進です。
七月の茶会の趣向
銘:星祭、青簾、苔清水、雲の峰、夕立、虹の橋、蓮(荷葉)など。
掛物:清泉石上流、清風動脩竹など。
趣向:朝茶事や、七夕・祇園会にちなんだ納涼釜など。
菓子器の扱い
- 縁高(ふちだか):主菓子を入れ、綴じ目を向こうにして出します。黒文字は人数分。
- 干菓子器:押し菓子を向こう、有平糖を手前に盛ります。
- 風炉の時期に塗り物を使う時は、茶筅で露打ち(水を打つ)をして用います。
Vol.113:【夏の点前】洗い茶巾と建水の扱い
暑い日が続いています。
涼しげに見せるのが一番のご馳走です。
洗い茶巾(あらいちゃきん)
極暑の扱い。
平茶碗に水を七分目ほど入れて運び出します。
水が入っている間は茶碗を両手で扱います。
茶巾を絞る水の音を聞かせ、涼しさを演出します。
建水・蓋置・柄杓の扱い
建水は一度濡らし、拭いてから使います。
竹の蓋置と柄杓も水で濡らし、滴を切って建水に仕込みます。
Vol.114:【夏の点前】葉蓋(はぶた)の扱い
台風の影響など、不安定な天気ですがお気をつけて。
今回は季節の点前「葉蓋」を説明します。

葉蓋(はぶた)
水指の蓋の代わりに、梶の葉、蓮、蕗などの大きな葉を使います。
裏千家十一世玄々斎の創案。
末広籠の受け筒や、陶磁器の水指(運び)に使います。
扱い方
葉を折りたたんで建水に捨てます。
茎を折って葉に差すことで、葉が開かないように留めるのがポイント。
最後、柄杓を構えたまま拝見を請われるなど、通常と違う手順があります。
Vol.118:水屋の後始末(釜)と茶碗の鑑賞点
涼しくなったり暑さがぶり返したり。
いよいよ夏休み気分から脱出して勉強いたしましょう。
釜の後始末
釜は熱いうちに湯で洗います。外側は濡れ布巾で拭くと、水分が蒸発して艶が出ます。
洗い終わったら、余熱でしっかりと乾かします(これが錆びさせないコツ)。
茶碗の鑑賞ポイント
- 口造り:口当たりの良さや形の美しさ。
- 胴:形や釉薬の景色。
- 高台(こうだい):茶碗を支える足。作者の特徴がよく出る鑑賞の要。
Vol.119:九月の趣向と茶碗の扱い・しまい方
読者の方からのメールは励みになります。
九月の茶会の趣向
銘:白露、野分、秋の声、名月、菊の宴、初雁、虫の声など。
掛物:明歴々露堂々、掬水月在手(水をきくすれば月手にあり)など。
趣向:月見の茶、菊の茶など。
茶碗の鑑賞としまい方
茶碗は「見て」「触れて」味わうもの。
拝見の時は、低く持って、高台の土見(つちみ)などには手を触れないように。
しまう時は、よく乾燥させて(土物は数日陰干し)、カビを防ぎます。
