教えて茶道(バックナンバー Vol.90~104)
記念すべき連載100回目を迎えた時期のアーカイブです。
掛物の詳しい種類や、茶事の流れ(懐石・濃茶・後炭)、そして日本語の語源を学ぶ「国語の時間」など、より深く幅広い内容になっています。
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Vol.90:掛物(かけもの)の種類とカプセル抹茶
先日友人宅で、カプセルに入った抹茶をいただきました。何が流行るかわからない世の中ですね。

掛物の種類
「掛物ほど第一の道具はなし」と言われるほど、茶事や茶会の主題となるものです。
- 墨蹟(ぼくせき):禅僧の高僧の筆跡。法語、偈頌(げじゅ)、禅語など。
- 一行物(いちぎょうもの):禅語などを一行に書き下ろしたもの。
- 懐紙(かいし):和歌などを詠進する際に用いた紙を軸に仕立てたもの。
- 消息(しょうそく):手紙のこと。茶人(利休など)の消息が喜ばれる。
- 色紙・短冊:和歌や絵が書かれたもの。
Vol.91:筒茶碗(つつちゃわん)と掛物の表装
節分が来れば、もう春はそこまでという感じになりますね。
関西では恵方を向いて巻寿司を食べる習慣があります。
筒茶碗の扱い
厳寒時には、暖かさが逃げにくい筒茶碗を用います。
茶碗の底を「い」「り」と拭き、側面は茶巾を縁にかけたまま回して拭きます。
絞り茶巾(湯で絞った茶巾を入れる)にする場合もあります。
掛物の表装(ひょうそう)
本紙(書画)の上下に「一文字」、上から下がる二本の帯を「風帯(ふうたい)」と言います。
表装には、本紙の内容により「真・行・草」の仕立てがあります。
- 真:仏画、神号など。
- 行:宸翰(天皇の直筆)、古筆、絵画など。
- 草:一文字のないもの。茶掛表具とも呼ばれる。
Vol.92:着物でお出かけと禅語「無・無事」
月に一度でも着物を着てお出かけすると、ピリッと気分転換になります。

禅語の読み方
「無(む)」
何もないことではなく、何もないからこそ無限の広がりを持つもの。
心を空しくして自分を見つめ直し、本当に必要なものは何かを考える言葉です。
「無事(ぶじ)」
一年何事もなく過ぎたことを喜び、来年の息災を願う言葉。
しかし、苦しみや悲しみを乗り越えてこそ、無事の有り難さをしみじみと感じることができるのです。
Vol.93:供養の茶会と禅語「忘筌」
先日、お母様の供養の茶会へ行きました。
般若心経が書かれた茶碗や、銘「面影」の主菓子、蓮の葉盆など、趣を取り入れた素晴らしいお席でした。
禅語:忘筌(ぼうせん)
「魚を得て筌(せん=魚捕りのカゴ)を忘れる」
目的を達したら、その手段や道具のことは忘れてしまう。
茶道で言えば、道具や作法を学びながら、最終的にはそれにとらわれない自由な境地に至ることです。
Vol.94:春近しと禅語「看脚下」
ふと見上げれば梅は咲き、小鳥は鳴いている、春近しを感じさせる今日この頃です。
禅語:看脚下(かんきゃっか)
「脚下(足元)を看よ」
禅宗では「一掃除、ニ信心」。お経を読むよりまず掃除。
茶の湯もまた特別なものではなく、日々の掃除や基本的な営みの中にこそ心が宿るという教えです。
懐石の道具
黒無地の真塗りが基本ですが、煮物碗は蒔絵など美しいものを用います。
向付は最初から最後まで出ているので、季節にふさわしい陶磁器を選びます。
Vol.95:美しい姿勢と禅語「柳緑花紅」
お茶の稽古では、姿勢を美しくすることが大切な基本となります。
おへその下(丹田)に力を入れ、背筋と首筋を伸ばし、肩の力を抜きます。
美しい姿勢でいれば自然と心が落ち着くものです。
禅語:柳緑花紅(やなぎはみどり はなはくれない)
当たり前のことですが、一度疑い、否定し、修行を重ねた末に到達する「当たり前の真理」。
その時、柳の緑はより深みを増し、花はいっそう鮮やかに見えるのです。
茶事:寄付(よりつき)
客が最初に通る部屋。身支度を整え、白湯をいただき、心を整えます。
Vol.96:釣釜(つりがま)と正座のコツ
三月は釣り釜の季節です。
天井から鎖で釜が吊り下げられます。五徳が不要になるため、五徳蓋置(ごとくふたおき)を用いたりします。
正座のコツ
両足の親指を軽く重ねる程度にし、下腹に力を入れ、背筋を伸ばします。
女性はひざを握りこぶし一つ分、男性は二つ分開け、足の土ふまずにお尻をのせる感じにします。
禅語:行雲流水(こううんりゅうすい)
行く雲も流れる水も、とどまるところがなく常に動いてやまない。
何ものにも執着せず、雲や水のように自由であること。
Vol.97:立ち方と禅語「一期一会」
暖かくなれば、立ちあがって踊り出したくなります。
着物での立ち方は、かかとをきちんと揃えて、まっすぐに立ち上がることがポイントです。

禅語:一期一会(いちごいちえ)
「一期」とは一生、「一会」とは一度の出会い。
今日の茶会は生涯にただ一回限りのものと心得て、誠心誠意向き合うこと。
例え同じメンバーが集まっても、今日の会は二度とないのです。
茶事:迎付(むかえつけ)
亭主がつくばいの水を流す音が合図。中門を挟んで、主客が無言の挨拶を交わします。
Vol.98:歩き方と禅語「日々是好日」
着物での歩き方。背筋を伸ばし、つま先から下ろして畳を擦るように歩きます。
畳を擦る音をわざとたてるのは、亭主が茶室の様子を知る手がかりにするためです。
禅語:日々是好日(にちにちこれこうじつ)
毎日を最良の日として生きること。
過去へのこだわりや未来への過大な期待を捨て、つらい日でさえ良き日と転ずる心を持てば、人生は常に好日となります。
茶事:席入り
つくばいで清め、にじり口から入ります。床の掛軸、釜、棚を拝見して席に着きます。
Vol.99:透木釜(すきぎがま)と禅語「松樹千年翠」
四月のお釜、透木釜(すきぎがま)。
暖かくなってきた時節、釜の羽を木片(透木)で支え、少し火から釜を遠ざける配慮です。
襖(ふすま)の開け閉め
引き手に手をかけ、少し開けてから縁(ふち)を持って開けます。
閉める時も同様に、丁寧に扱います。
禅語:松樹千年翠(しょうじゅ せんねんの みどり)
松の緑は千年変わらないが、その美しさに気づく人はどれだけいるだろうか。
本質を見抜く目を養うことの大切さを説いています。
Vol.100:【祝】100回記念「HAPPY」と国語の時間
今回で100回を迎えました!皆様の応援のおかげです。
記念の言葉は「HAPPY」。
自分がHAPPYになりたいなら、周りもHAPPYにする。自分で行動すれば、必ずドリーム・カム・トゥルーです。

新コーナー:国語の時間(和菓子の語源)
- 桜餅:長命寺の門番が、隅田堤の桜の葉を利用して考案。
- 今川焼:江戸の今川橋で売られていたから。
- きんつば:刀の鍔(つば)に似せて作ったもの。
- カステラ:ポルトガルの「パン・ド・カステリヤ」から。
- 金平糖:ポルトガル語の「コンヘイトウ」から。
礼の仕方(真・行・草)
- 真:最も丁重。手の平を畳につけ、深く礼をする。
- 行:指先が畳につく程度。客同士の挨拶など。
- 草:最も軽い礼。点前中の挨拶など。
Vol.101:山吹(やまぶき)と茶碗の取り方
山吹の名所、井出の里へ行ってまいりました。
茶道では、山吹といえば「井出の里」「歌の戸(うたのと)」という銘があります。
お茶碗の取り方
茶碗の真横より右手の親指を縁にかけ、高台のわきをしっかりと持ち上げます。
左手の手のひら(中央)にのせ、右手を添えて包むように持ちます。
大切な茶碗だからと緊張しすぎず、普段から丁寧に扱うことが大切です。
茶事:主菓子(おもがし)
懐石のあとに出される主菓子は、縁高(ふちだか)に入れられます。
そのまったりとした甘さが、中立ちのあとの濃茶をおいしく味わわせてくれます。
Vol.102:稽古の心構えと国語の時間(箸・茶碗)
稽古の手順ばかりに気を取られず、「なぜお茶をしているのか」を心に問うことも大切です。
利休百首「その道に入らんと思う心こそ 我が身ながらの師匠なりけれ」

国語の時間
箸(はし)
語源は鳥の「嘴(くちばし)」と同じ。また「挟む」とも同源。
古くは一本の細い棒を折り曲げ、ピンセットのように挟んで使うものでした。
茶碗(ちゃわん)
もともとは「茶」を喫するための「碗」。
次第に碗形の陶磁器の総称となり、「飯茶碗」などの言葉が生まれました。
Vol.103:スランプの告白と初風炉・和菓子クイズ
恥ずかしながら、時々鬱状態になります。
そんな時、友人が「頑張れ」と言わず、ただ赤いバラの花をくれました。それが救いになりました。
初風炉(はつぶろ)
五月から風炉の季節になります。
銘:青嵐、薫風、早苗、清流、岩清水、時鳥(ほととぎす)など。
国語の時間:お菓子の読み方クイズ
- 有平糖(あるへいとう):ポルトガル語で砂糖の意味。
- 外郎(ういろう):中国の官職名に由来。
- 打物(うちもの):木型に入れて打ち出したもの(落雁など)。
- 求肥(ぎゅうひ):牛の皮に似ていたことから。
- 錦玉(きんぎょく):寒天を煮詰めて固めたもの。琥珀ともいう。
- 棹物(さおもの):羊羹など細長い形のもの。
- 薯預(じょうよ):山芋のこと。上用饅頭。
- 金団(きんとん):栗や豆を使った餡のお菓子。
Vol.104:柄杓(ひしゃく)の扱い復習と「稽古」の意味
茶道具を粗末に扱わない。茶杓を茶碗の縁で打つときは軽く。
慣れてきた頃こそ、基本を大切にしましょう。
柄杓の扱い(風炉)
置柄杓、切柄杓、引き柄杓。
弓を鳴らして魔よけをした
