「教えて茶道」Vol,51

 

暑かったり、肌寒かったりと、気温はいろいろなこの頃。
お茶の葉の芽が出た、こんな時に、おそ霜にやられて、葉が茶色になって
だめになってしまう時があるそうです。
今では一年中お茶が頂けますが、霜害に逢うと、その年のお茶が飲めなく
なるのそうで、茶業者は、霜よけ対策をするそうです。
皆様も体調を崩さないようにお気をつけてください。

茶道具(8)
<花入れ>
茶の湯にとって花は欠かすことのできないもので、それを入れる器も
、茶の湯の演出に重要な一役をあたえている。
お茶事で席入りすると、初めの席には床に認められるのは掛物で、初座
で炭手前がはじまり、それが終わると、そのまま懐石料理が振るまわれ、
菓子を頂いた後、席より退出して、しばし休憩の後、席中へ入る。
その時、床にあった掛軸は仕舞われ、花入れに花がいけられている。
濃茶、炭手前、薄茶となって、茶事は終わる。
始めに掛軸を見せ、後に花を見せる、この趣の違いは、おもてなしの
素晴らしい演出である。
大寄せの茶会の多い今日では、軸も花も両方床に飾ってある。

室町中期の十五世紀後半に興った茶の湯は、室町時代後期まで花入れ
に関しては輸入もの(唐物)胡銅と青磁が重きをなし、これに砂張(
さはり)釣り花入れが珍重されていた。
千利休がたやすく茶の湯への案内する手段として考えついたのが創作
茶道具であり、千利休はこの方針にのっとって、新規の茶道具を、茶
室作りを実践してみせた。
その内の花入れの代表作は竹筒の一重切(いちじゅうぎり)花入であり、
銘 「園城寺」(おんじょうじ)
竹筒の二重花入などであった。
単純な竹筒を基本としたものが評判になったらしく、多くの茶会記に
竹の切掛け花入れ、尺八切竹筒花入れなどの文字が認められるように
なった。
利休は何気ないものを花入れに仕立てあげた。有名なエピソードでは
京都の桂川辺で、たまたま漁夫が腰に提げていた魚篭(びく)をもら
い受けて、鐶(かん)をつけて花入れに用いたものだという。
銘 「桂籠」(かつらかご)
又、ひょうたんの上半分を切り落としただけの花入れは、利休が作り
手許不如意の侘びの数寄者として有名な堺の藪内宗巴(やぶのうちそ
うは)がこれを大金で譲り受け、その折、掛けてかざる方法について
細かく指示されたという。
銘 「顔回」(がんかい)
古田織部は竹筒ではなく、焼物の花入れを使って掛け花入れを楽し
んだようだ。
備前、伊賀、唐津、高取・古染付の記録が認められる。