「教えて茶道」Vol,20

八月最終の週に入りました。昼間はまだまだ暑いですが、
朝晩は少しは凌ぎやすく、虫の声や露がおりていて
初秋を感じさせます。

茶杓の銘も、虫の声、萩の露、草の露が使えます。

先日、茶の友三人で、茶箱のお稽古をいたしました。
茶箱は、箱の中に、点前道具一式を仕組んだ携帯用もので、旅先で お茶を一服いただけるようにしたものですが、
今では、ちょっとした趣向で座敷や庭などでされるようです。
箱の中には、茶せんに茶せん筒、茶巾に茶巾筒、ふりだし(コンペイ糖や、 甘納豆等を入れる、干菓子入れ)茶碗、小ぶりの棗、茶杓、古袱紗、 袱紗を入れます。点前座前には、鉄瓶を置いておきます。

南方録によれば、利休居士が大善寺山で野がけの茶会を催された時、尻ぶくらの 茶入れを茶箱に仕組まれて用いられたことが出ており、
おそらくはこれが 茶箱の始まりではないかと思われます。
茶箱は利休形のものは桐木地でできており、大きさは様々で
宗淡好は朱塗り 一閑張りとされています。
点前作法としては、雪、月、花、卯の花、和敬、色紙点前があり、
裏千家十一世玄々斎が、伊勢路を旅した折、雪、月、花の点前を
創案されたのがはじめで、四季を通じた点前を望まれた玄々斎は、
夏季の点前を卯の花点前も、創案されました。
これは、茶箱の平点前 とも言うべきもので、
器物の扱いがわかりやすくされており、
茶箱を習い始めは、このお点前から習得します。
十四世淡々斎が和敬点前、色紙点前を加えられています。
和敬点前は点前の煩雑を避けて道具も簡略にされ、
いつでもどこでも 点前ができ誰でもが親しめるように
創案された点前です。
色紙点前は御所籠を用いて、古袱紗が最大限に活用されており、
四枚 の古袱紗と茶巾箱を置き合わせた道具の配置が、
ちょうど色紙を 散らしたように見える所から、
色紙点前と名付けられました。
この点前はとても優雅に見え、お茶を楽しんでいると言う感があり
私に好きなお点前の一つです。


読者の方から、茶の字に関するお便りを頂きましたので
お知らせします。
お茶を濁す
(1) お茶といっても、その入れ方は大変難しいとされている。 煎茶にしても、湯の分量、温度、時間の三要素がうまくかみ合わなければ 最高の風味が出ないとされている。 お茶の入れ方が上手く行かないと、苦味や渋みが出てしまって、この時、 お茶は濁ってしまう。ごまかしたり、繕ったりすることを 「お茶を濁す」と言うのはこれに由来する。
(2)お茶を点てる時、作法を知らないで適当に緑色に「にごし」て ごまかしたことに発する。