先日、私が企画したお茶事の稽古第二回目をいたしました。
今回は基本の正午の茶事に炭所望と茶杓荘を付け加えました。
あちらで用意されていたのが釣釜でした。私もですが、参加
した全員がうろ覚えでしたが、ここは勉強だと全員覚えた知
識を絞ってした次第です。
季節には外れますが、釣釜の扱い方もあわせて、紹介いたし
ます。私の復習につきあわせているようなものですが、読ん
でおくだけでも、うろ覚えでも今回のようにどこかで役に立
つ日が来るでしょう。
叉もや、うろ覚えを頼りにいたしましたが、経験を重ねるごと
にいろいろな事をクリアしていくものだと思いました。
今回は人数が少なかったので、小間を使用し、露地での所作も
付け加えて茶事らしい雰囲気がありました。
用意していただいた料理もたいへんおいしくいただきました。
今回は私が亭主役を引き受けましたので、ゆっくりを味わって
いられなかったのが残念でした。
次回は風炉の時期に企画したいと思っております。
献立表
向付 鯛昆布〆 ばんだい 蕨 山葵 加減酢
汁 よもぎふ 土筆 からし
煮物 蛤しんじょ 長板昆布 菜種 針生姜
焼物 油目照焼 粉さんしょ
預鉢 山城筍 新ワカメ 木の芽
進肴 山独活 椎茸 蕗 入り卵 胡麻味噌和え
箸洗 桜花 露生姜
八寸 干しこの子 こごみ
香物 沢庵 赤蕪 若壬生菜
道具類
本席 軸 柳緑花是紅 三玄院 寛州
待合 軸 山水有清音 喝堂
花 利休梅 妙蓮寺椿
花入 備前 ひさご
香合 扇面 染付
釜 竹地紋筒釜 政光
炉縁 胡麻竹貼炉縁
濃茶席水指 瀬戸
薄茶席水指 三島 西尾香舟
濃茶入 瀬戸 笹鶴緞子
棗 メノウ
濃茶席茶杓 「千代の友」戒堂
薄茶席茶杓 「清風」 称名寺
濃茶茶碗 楽印
薄茶茶碗 有田焼 しだれ桜
蓋置 網のおもり 備前
菓子 花小袖 叶匠寿庵
干菓子 花ふせんべい わらび
留意事項
◎茶杓荘
・ 茶杓の筒を床下座に二つ折りした帛紗の上に荘っておく。
・茶杓を拝見に出す時古帛紗の上に置いて出す。
◎炭所望
・ 亭主が灰をまき、中掃きをして、炭斗を元に戻し、羽箒を炭斗の
上に戻します。
・ つぎに下座斜めに回り、灰器を右手で釜下座までくりあげて立ち、
茶道口にさがり座って「どうぞ申し合わせで炭を」と所望する。
・ 連客の一人が立って炉正面に座り、炭斗の羽箒をおろし、火箸
を取り胴炭を手でつぐ。以下同様。
火箸を炭斗に戻し、後掃きをして、羽箒を炭斗にのせ、自席に
戻る。
・ 亭主は、茶道口に控えており、炭をつがれた方が自席に、戻る
と「ありがとうございました」と一礼して、炉正面に進み座っ
て炉中を拝見する。
・ 炭をつがれた方より「どうぞお直しの上、香を」と挨拶をする。
・ 亭主はこれを受けて香を入れ、香合拝見に出す。
・ 亭主は釜の方に回った時に、左手で灰器を定座まで下げる。
・ 釜にカンをかけ、釜を上げた位置まで引き寄せ、カンをはずし、
灰器を持って水屋に下がる。
・ 水次を持ち出す。
◎釣釜の扱い方
・ 香合を出して釜の蓋閉める
・ 一膝前に進み、釜の蔓を左手でささえ、右手で鎖のたくし上げて
ある中鈎を鎖目三つほど繰り上げてかける。(小あげ)
・ 右手で釜敷を取り出し、左手で左に返して、左膝横に置く。
・ 右手で右の方のカンを持ち左手で釜の蔓の上をにぎり込み鈎から
はずし、釜敷きの上に下ろす。
・ 右手でカンを右の方からはずし、蔓を右手に持ち替え、左手で左
のカンを蔓からはずし、左手で蔓の左横をを持ち、釜の下座に、
向こうにねかせて置く。
・ カンをはずして、蔓の中程に置く。
・ 炉正面に向きなおり、左手で鎖の鈎を受けるようにして持ち上げ、
右手で鎖の中鈎をさらに五つ目ほど上げてかける。(大あげ)
・ 炭は普通とおり。
・ 香合を拝見に出し、すぐに左手で鈎を受け、右手で中鈎を二度目
にあげただけ、五目さげる。(大さげ)
・ 体を少し左に向け、左手でカンを取り、釜にかけ、釜を定座まで
引き戻し、左手で蔓を取り、右手で右のカンにかけ、持ち直して
左のカンにかけ、そのままそこを持って、あげた時のようにして
正面に戻り、蔓を鎖の先の鈎にかける。
・ 釜敷をかたずけ、左手で、蔓を少し持ち上げ、左手にしっかり持
って釜をうかしておいて、右手で中鈎を最初にあげた三つ目ほどお
ろす。(小さげ)
<五徳の扱い方>
点前に用いる時、
建水に輪を下にして入れておき、建水を持ち出し、蓋置き出す時に、
左手で柄杓を持ち上げ、右手で蓋置を取りだし、左手の掌にのせ、本
を開くようにして上向けにして輪を上にして二本が炉の側に来
るように定座に置く。
荘る時は、輪を下にして本を閉じるように下向きにして、二本が前に
なるように荘る。
<薄茶器 >千利休と棗
千利休は侘茶を表現するうえで黒棗を重視し、その意匠に非常に腐心
しました。晩年の記録とされる「利休百会記」よれば、ほぼ三会に一
会は棗を取り合せています。利休の塗師(ぬし)は秀吉に天下一の号
を授けられた盛阿弥(せいあみ)ですが、棗は漆のかすをまぜて塗る
くらいがよいと指導したと言われます。塗りの見事すぎるものは、茶
趣がないとして嫌いました。そんな利休は、町中で安く売られている
棗にも注目し、愛用していました。その代表的なものが「再来」藤田
美術館所蔵で、下地に荒く漆を塗った、それだけに、侘びた塗りの味
わいが魅力的な棗です。
次回は、勝手ですがパリ旅行いたしますので、お休みいたします。
皆様お元気でお過ごしください。ごきげんよう。
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