いつもの通り、十月になりましたので、決まり事を述べましょう。
中置(なかおき)の点前になります。十月だけです。
普通は、左端から風炉、水指と置きますが、風炉を点前畳中央に置き
ますので、水指は風炉敷板左前斜めに座って、水指を敷板半がかり、
畳の左縁と敷板の中間に置きます。
ですから、大きいのではなく、細長い水指を使用します。
棗とお茶碗は、元の水指前に置く位置に置き合わせします。
蓋置は、水指正面に置き、柄杓の柄は、膝頭中央にきます。
柄杓を釜に置くと、真正面になりますが、こころもち左よりに置きます
と、茶筅通しが、しやすいです。
敷板に大板や中板などを用いたりします。
大板の場合、板の手前、左に蓋置き、横まっすぐに柄杓を置きます。
飾る時は柄杓と蓋置きをとじ飾りします。
即ち、大板の左側に縦まっすぐに柄杓を置き、柄杓手前右にカタカナの
トの字のように飾ります。
中置点前の時の諸道具は、大体侘びた趣向でしますので、風炉も鉢の鉄
のかけた破風炉とか、ときには大摺鉢に藁灰等を入れたりして使用する
のも面白いものです。
また、十月は名残の月でもあります。
半年にわたって親しんだ風炉とも今月限り。
名残の茶事が行われるのもこの時期、十月中頃から十一月始め。
残茶・余波の催とも言います。
去年の口切から使い続けてきたお茶が、風炉の終わりの時期になると残
り少なくなるため、茶そのものに名残を惜しむ侘びた茶事です。
また、お茶だけでなく、やがて深まる秋と共に去りいくものへの名残が
つのります。
花は、残花と言って、たくさんの花を奇数入れます。
欠風炉(かきぶろ)
鉄風炉の甑や肩の一部が欠けてなくなったものや、割れを継いだもの、
破れ風炉(やれふろ)・やつれ風炉とも言って、この時に使います。
欠け茶碗
欠けや割れの入った茶碗に繕いを施した物など使います。
<茶入>糸切(いときり)
茶入の底の部分は、多くの場合、糸切の跡を残しているので糸切と呼ん
でいます。糸切は茶入を形造り、回転しているロクロの土台から切り離
す時にできる渦状の線をいいます。糸切にはいくつかの種類があります。
唐物糸切(渦紋が右巻き)・和物糸切(渦紋が左巻き)渦糸切・板起し
などです。
板起(いたおこし)は糸を使わないで切った線のないもの、
渦糸切(うずいときり)は後から線を入れたものをいいます。
糸切の鮮明度は、土味によってさまざまに変化しますが、概して鮮明な
ものの方が喜ばれます。
糸切を拝見する際は、茶入にお茶が入っている場合もあるので、口を懐
紙でふさぐ等の注意が必要です。
<釜・風炉・灰型>
四方 よほう 茶湯釜の一種。胴部が四方形をなす釜である。升釜・角
釜・算木釜なども四方釜の一種と言える。古くは芦屋・
天命にあり、「利休四方釜」(芦屋作。利休・宗旦所持)
は、「利休百会記」によると百回中七十三回まで使用さ
れたという。
繰口・無紋で、共蓋が添い、首の長い椎実撮みが付けら
れている。鐶付は鬼面で常張鐶付である。辻与次郎・弥
四郎・藤左衛門ほか多数の釜師により作られている。
大は少庵好み、小は宗旦好みとされ、原叟好みは角釜と
称されている。
立鼓 りゅうご 鼓の胴のように両端にひろがり中央がくびれた形を言う。
輪鼓とも書く。花入・蓋置・水指・釜などの意匠として
採り入れられている。
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