厳寒の二月、宗家では咄々斎の次の間に大炉(だいろ)が開かれます。
大炉の点前は、十一代玄々斎宗匠が創案されたもので、立礼式や茶箱点
前と共に裏千家独得のものです。
普通の炉が一尺四寸四方であるのに対して大炉は一尺八寸、一辺が12
センチほど長く、さらに逆勝手(ぎゃくがって)で炉に近づいた手前と
なり暖かく客を迎える工夫です。利休七則「冬暖かく」の心配りです。
逆勝手、左勝手・非勝手ともいい、本勝手(普段の場合)対していう。
亭主の座る点前畳の左側に客が着座する構えをいう。
先日、大炉が開かれているお茶会へ行って参りました。
朝一番のお席だったので、亭主自ら炭手前をされました。初めての経験
でしたから、興味深かったです。
点前は逆勝手のお点前でした。
広口釜は寒い時には本当に暖かく感じて何よりの御馳走です。
男性の亭主はざっくばらんにお話をされ、「社中は一所懸命に逆勝手の
稽古をいたしましたが、自分は口ばっかりなので、イザと言う時には動
けません。恥をかいております。」など笑いながら座を和ませてくださ
り、又道具類も丁寧な説明で、よくわかり、楽しいお席でした。
蓋置は、東北に行かれた時に土産物屋で見つけ、束ねて作られたそうです。
何か茶道具に利用できる物はないかというそんな気持ちで旅行に行くのも
楽しいものですね。
主な道具の紹介をいたします。
掛軸 花遂雪中開 はなおってせっちゅうにひらく 淡々斎
花 花まんさく、師人(もろひと 白椿)如月椿
花入 伊賀生爪 克之造り
香合 いなり焼土鈴
釜 大講堂(だいこうどう)
茶釜の一種。比叡山延暦寺の大講堂の香炉を釜に写したのが
この種の釜といわれる。形態は広口釜というべきで、広口、
上張鐶付、共蓋で胴の上部と中程に筋目をつけ、その間に「
大講堂」の三文字を陽鋳するが、右書き左書きがある。
水指 真手桶 宗哲
薄器 梅の絵 黒中棗 一閑
茶杓 銘 庭の梅 淡々斎
茶碗 赤筒 銘 峰の雪 旦入
替 御本半使
替 祥瑞唐子おどり 和全
蓋置 狐面箸置 二代好斎
建水 信楽
主菓子 咲き分け 鶴屋
菓子器 赤絵魁鉢 和全
干菓子 狐面 手綱 亀屋
干菓子器 青漆爪赤四方盆 宗哲
<茶杓>
ほとんどの茶杓は、作者の作った筒に収められています。この筒は、茶杓
を削った竹と同じ竹で作られた共筒(ともづつ)が使われるのが原則です。
現在では自作の筒書きがあれば共筒と言いますが、厳密には茶杓と同じ竹
の筒の意味です。
茶杓は茶の湯で重要な位置を占めるにしたがい、その作者をはっきりさせ、
それが真作であることが求められるようになりました。そこで作者が筒に
〆印(しめいん)、銘、そして署名又は花押(かおう)を認めるようになりました。
筒を拝見する時は、竹の皮の部分を持ち、文字の部分に触れないように気
をつけ、花押や姿を味わいます。
<茶会の着物>
茶席の着物は色無地紋付が正式とされていますが、訪問着や江戸小紋に一つ
紋をつければ、かなりの席に通用します。この場合の紋は染め抜き紋、つま
り陽紋で、陰紋は略式になります。
紋にはこのほか、金糸銀糸、白糸などで刺繍した縫い紋や色挿しした加賀禅
紋、加賀縫い紋などがあり、これらは染め抜き紋よりも格は下がるが、おし
ゃれを楽しむには最適で、くだけた茶会や野点の席などのふさわしいです。
紋をおしゃれとしてつけるなら、家紋に限らず、刺繍や友禅染の花丸などを
色無地につけてみたいです。
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