<十月の茶会の趣向と銘>
「銘」 寒露(かんろ)霜降(そうこう)秋時雨(あきしぐれ)露時雨
深山路(みやまじ)立田姫(たつたひめ)秋の夜 霧 蔦
白菊 山雀(やまがら) 雁渡し(かりわたし)
秋澄む:秋麗 秋高し 秋深し
秋の暮れ:秋の夕 秋の夕暮れ
秋風:金風
紅葉:黄葉 紅葉狩
十月の異名 神無月(かんなづき)時雨月(しぐれづき)
初霜月(はつしもづき)
掛物 閑坐聴松風(かんざして しょうふうを きく)
雁一聲清風萬里秋(かりいっせい せいふうばんりのあき)
楓葉経霜紅(ふうよう しもをへて くれないなり)
歌銘 見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕ぐれ
藤原定家
趣向 名残の侘びた趣向にいたします。
掛け物は消息(しょうそく、手紙の雅称)や詠草(えいそう、
和歌などの草稿をいう)
花は秋の七草などの残り花を籠にたっぷりと入れます。
風炉は板風炉や鉄の破(やつ)れ風炉、茶碗も破れをついだ古
井戸茶碗、雨漏(あまもり)の手など。
この時季だけは灰吹きや箸などは初風炉で用いた色あせた物を用い
ます。
行く秋の茶味があふれる取り合せはさまざまあります。
<水屋の後始末>
道具の保管
大切な道具は箱にしまいますが、その箱を移動したり、保管する時に使
われるのが風呂敷です。昔から数奇者たちは、更紗や間道などの時代裂
を用いた好みの風呂敷で箱を包んできました。いかに道具を大切にして
いたかがしのばれます。
風呂敷に包むと中身がわからなくなってしまうので、風呂敷には札をつ
け、道具の名前を書き入れておくのが習いです。こうしておけば、次に
使う時に出しやすいし、何が入っているのかがわかります。
そんな先人の知恵から、整理上手も茶人の心得の一つであるという事も
学びたいものです。
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