「教えて茶道」Vol,110

皆様のお茶の稽古は進んでいますか?
始めは順番を覚えるのに必死で、動作の優雅さなんて考えられませんが、あ
る程度の余裕ができると、自分の動作を確認しましょう。
お茶はいつも言われていますが、きれい事であり、見せるものです。
だから、見る人、お客様にとって、うっとりさせる、気持ちをリラックスさ
せる点前を心掛けましょう。はらはらドキドキではいけません。
今はやりのセラピー効果を生むくらいを目指しましょう。
研究会で言われた点を紹介します。下手な文章で、又文字では伝わりにくい
かもしれませんが、ご自分で研究してください。

☆棗を清める時
 右手にさばいた帛紗を軽く持ち、左手で棗を横から持ちます。
 帛紗を手なりにして、棗の甲を向こう手前と「こ」の字を書くように拭き、
 その後、棗の上に帛紗を広げて右手指五本を揃えて少し向こうにつくよう
 し、右ひじを少し外へ張りながら、親指を広げて帛紗をにぎりこむように
 して、右膝上に置き、棗を置きます。
 肘を張りながらが、張りすぎず、自然に優雅に見せましょう。

☆茶杓を拭く時
 帛紗を左掌にのせ、茶杓の端を右手で持って、かい先をあげすぎないよう
 およそ膝の線と平行に真っ直ぐに持って、左手の帛紗で包むようにして、
 手前から向こうに拭き、かい先まで拭いて、左手の力を心持抜くようにし
 て、手前に戻しながら、次に両横を拭くようにして、かい先部分だけは
 上下を拭きます。
 次に最初と同じように上下のみ拭いてから、帛紗をかい先から左の方へは
 ずします。その時、半円を描くようにはずすときれいです。

☆柄杓で湯を入れるとき
 釜から湯をくんできて、茶碗に湯を入れるとき、指先から力を抜いて親指
 が下を向くようにして、肘を張ります。
 手先だけで柄杓をかえさず、肘からかえすようにします。

☆茶碗を右手で持つ時
 右手親指が茶碗の縁で、あとの四本指は茶碗の底を持つ時、半月の形に
 なるように持ちます。


<水屋での準備>
茶碗の準備
茶碗は直接口に触れるものなので細やかな心配りが必要です。
その準備は、まず湯通しから始めます。箱から出した茶碗は、ぬるま湯で洗
います。必ずしっかりとぬらします。事前に茶碗肌をぬらすことによって手
脂やお茶の汚れが茶碗そのものの生地に染み込むのを防ぐことになります。
こうして清めた茶碗は、乾いた布巾で水気を拭き取ります。
たたんだ茶巾を茶碗の中心よりやや向こう寄りに入れ、清めた茶筅をあずけ
ます。穂先は茶巾の上、軸は茶碗の手前です。茶杓は茶碗の右肩に茶筅と平
行に伏せて置きます。

<国語の時間>
げきりん逆鱗
「逆鱗」は天使の怒り、転じて目上の人の怒りを言う。
「酔ってのうえとはいえ、先代の悪口をいったばかりに、社長の逆鱗に触れ
てしまった」などと使う。
「逆鱗」は「韓非子かんぴし 説難せいなん」にあるが「説難」は君子を説得する
ことの難しさについて述べている篇である。
例をいろいろ示したうえで、君主を説得するに際しては、その気心をよく呑み
こんで、うまく誘導していくように持ちかけ、かりそめにも怒らせるようなこ
とをしてはいけないとし、次のような例えでしめくくっている。
竜と言う動物は、扱いがよければ馴れて、背に乗ることもできる。しかしその
喉もとに、差し渡し1尺(この場合は一方から他方までの長さ、つまり長さ30
センチのこと)程の逆さに生えたうろこ鱗(逆鱗)があり、もしこれに触れたり
すれば、たちどころにその人を殺してしまう。
君主にも逆鱗がある。説得しようとする者が、君主の逆鱗に触れずにすますこ
とができれば、その説得は可能性があると見てよい。
この故事から、君主の怒りに触れることを、「逆鱗に触れる」と言うようになった。

◎ 韓非子  中国戦国時代の思想書。紀元前2200年頃?成る。
20巻55編。編者不明。秦以後の官僚国家における基本思想となった。